スーパースターへの道 in カンボジア

『星』に手を伸ばせ!!たとえ届かなくても in カンボジア

オカマ犬“さそり”が見つめる、スーパースターを目指すカンボジアの若者たちの青春

ジュビ・リン

「独立記念日」へ向けて

大切な仲間たちへ

 

リン

初めて君がCSAに来た日、CSAの女子たちが騒ついた。

あれは3年前の秋の日。

身体じゅうにタトゥーが入ったものすごいイケメンが、CSAにやってきた!と

タタが、私の耳元までやって来て

「カッコイイネ」

と囁いたことを覚えている。

初めてCSAにやって来た日、君は怯えた顔でカミナリ親父に対峙した。

YouTubeを見ながらダンスを練習していた君。

リズムもよく取れ、ダンスも誰より上手い君が来て、カミナリ親父はとても喜んでいた。

「すげぇのが来てくれたな。これは、神様からの贈りものだ。」

君はダンス以外にも様々なことに長けていて、

カミナリ親父の「ものづくりテクニック」もどんどん吸収していった。

君は、カミナリ親父のことを本当に尊敬し、憧れているのだということがわかる。

カミナリ親父の妻としては、それがとても嬉しくて、可愛かった。

 

君はハンサムで何でも器用に出来る男だけど

出会ったばかりの頃は「浅はか」な部分もたくさんあって、

私にもカミナリ親父にも、何度か怒られたことがあるよね。

 

こないだ、リンに言われた。

「今まで一番怖かったのは、レナに、皿洗いをしなくて怒られたこと」

あったあった、そんなこと。

皿洗いをズルをしてサボって帰ろうとした君に、

「あんたみたいなヤツは、どんなに才能があっても、もう要らない!」

と、めちゃくちゃに怒ってしまった(笑) 懐かしいね。

 

格好良くて才能溢れる君に、いろんな意味で、たくさんの人が恋をした。

身内を含め、たくさんの女の子が君に恋をしたし

君の才能に惚れてくれた方々もたくさんいる。

私たちはその度に必死で君の将来を考えた。君のためにどうするのが一番良いのか?

でも、私たちは君の気持ちを尊重することにした。

君はいつも、今いる仲間と頑張りたいと、そう言った。

きっといろんな意見があったのだろうと、私もカミナリ親父もわかってる。

私たちは、リンの将来について日々、必死で考えて

時には私とカミナリ親父でケンカになるくらいに考えて

それで、君の気持ちを尊重するという決断をした。

だから、なんでそんな気持ちを解ってもらえないんだろうと泣いたことも何度もあった。

 

君は身体が弱くて、いろんな人がそれを心配した。

私は、リンのご両親の次くらいに、リンを心配した自信がある。

一昨年、リンが肝炎にかかった時には胃が痛むくらいに心配したし

カミナリ親父と有り金はたいて良い病院に連れてった。

出来ることなら代わってやりたいとさえ思った。

ただ、リンは小さい子供じゃないし、カミナリ親父のような男に憧れているから

出来るだけ人の前では、リンに厳しくした。

ちょっと足をくじいてたり、ちょっと体調が悪いくらいで

「どうしたの、どうしたの」と心配しないようにしていた。

リンの中の、男のプライドを尊重するために。

それも、解ってもらえない事が何度もあった。

リンを粗雑に扱っていると。

そんな訳ないのに。なぜ、そんな風に思われるのかと、とても悲しかった。

 

どうして解ってくれない人たちがいるんだろうと悲しくて泣く度に、カミナリ親父が励ましてくれた。

「リンや近くにいる皆が解ってるんだから、他の人にどう思われたって別に良いじゃん」と。

その言葉通り、今となれば、リンの気持ちを尊重したことを後悔していないし

リンと今こうして共に将来を見ているのだから、それで良いと思える。

 

リンは、私とカミナリ親父が傷ついて泣く度に、

私たちをギューと抱きしめてくれた。

私たちは辛い時、悲しい時、いつも君のハグに助けてもらってた。

 

リンは、国籍関わらず、どんな人にも「良い子」と評価される。

容姿端麗で性格も優しく、私たちも本当に良い子だと思っているけど

私たちはそんなリンがいつも心配だった。「良い子」過ぎやしないかと。

二十歳そこらの年齢で、あんなに格好良いなら、もっと遊んでる方が普通じゃないかと。

 

だから最近、君が新しい恋に落ちて、現を抜かしている姿を見て

実はちょっとホッとしてるんだ。

恋に落ちて盲目になっている君は、他の皆もビックリするような行動をとったり

「リンは変わってしまった」「昔のリンに戻って欲しい」なんて言われたり

過去にフッてきた女子たちに恨まれたりして(笑)

君は、みんなが全然怖くないものにも怯えたりするような弱虫だから

(例えば、水牛とか。

皆が平気で水牛の近くを歩けるのに、リンだけ出来なくて皆で大爆笑したことがあった。)

恋に溺れる自分、自分が批判されること、自分がダメになることが怖くて怖くて

自分を守ろうとするがあまり、ビックリしちゃうような弱さをさらけ出している。

 

カミナリ親父と私は、リンの転落ぶりを「漫画みたいだね」と話しているんだよ。

カミナリ親父は

「弱虫が主人公の漫画みたいだな。でも、リンはきっと、漫画の主人公みたいに復活するでしょ。」

と言っている。私も、そう思う。

 

尊敬する相手の前で、一生懸命に良い子のツラをしている君も面白くて好きだけど

(“実は何を言われているか解ってないけど、頷いてる”ってこっそり教えてくれたりね)

弱い自分に翻弄されている君だって、大好きだよ

だから、もう良い子じゃなくたっていいんだよ

 

もしこれから君がどんな道を選んだって、ずっとずっと、大好きだよ

 

リンの「リン」は、バイオリンの「リン」なのだと

なんか格好つけたこと言ってたよね

 

いつか、聴かせてあげる

私の同僚で、すっごい素敵なバイオリニストいるからさ

確かにバイオリンは、君っぽいかもね

繊細で、本当に華麗